2024年11月、北海道の凍結した道路で停車中の私の車に、後方からスリップしてきた車が追突しました。相手の一言は衝撃でした。
「自賠責保険には入っていますが、任意保険には入っていません」
この瞬間から、私の7か月にわたる長い戦いが始まりました。
物損対応は泥沼化。裁判に突入
当初、相手は「車の修理費は払います」と言っていました。しかし、修理見積もりを提示した途端、態度が一変しました。
- その金額は高すぎる
- 自分はそこまで悪くない
- 少ししか壊れていないはず
次第に連絡も取れなくなり、支払いもゼロ。私は弁護士費用特約を使って弁護士を依頼し、裁判に踏み切りました。
裁判は半年以上かかり、2025年6月、ようやく勝訴。判決は以下の内容でした。
- 修理費用は満額支払い命令
- 支払いは約1年の長期分割
- 2回滞納した場合は残額一括請求可
人身事故扱いと治療費。頼れたのは人身傷害補償特約
事故の衝撃で、私は頚椎捻挫(いわゆるむち打ち)になり、半年以上リハビリ通院が必要に。しかし、相手からは医療費も一切支払われていません。
ここで助けになったのが、私の自動車保険に付帯していた「人身傷害補償特約」です。この特約のおかげで、診察代、リハビリ費用、病院への交通費まで、自己負担ゼロで治療が続けられました。
現在は後遺障害等級認定を申請中
7か月経っても、首の痛みや手のしびれは完全には取れません。「症状固定」と診断され、後遺障害等級認定の申請を進めています。
申請に必要だったのは以下の書類です。
- 後遺障害診断書
- CTなどの画像所見
- 症状経過や日常生活への支障をまとめた資料
FP視点で見る、支払った保険料と受けた補償額の比較
支払った保険料
- 年間保険料:約5万円
- 加入年数:7年
- 合計:約35万円
今回の事故で実際に受けた補償額
- 弁護士費用:約30万円
- 医療費(人身傷害補償):約50万円
- その他雑費:約5万円
結果、7年間で35万円払って、1回の事故で85万円以上の補償を受けました。
事故後、保険料を大幅に下げることに成功
保険の重要性は十分に実感しましたが、「保険料をもっと抑えられないか?」とも思い、保険内容はそのままに契約形態だけ見直しました。
見直し結果
- 従来:代理店型で年間約5万円
- 見直し後:ネット型で年間約2万8千円
弁護士特約、人身傷害補償、車両保険は継続したまま、年間2万円以上の節約に成功しました。
免責設定も見直し、さらに保険料ダウン
さらに私は、車両保険の免責金額も変更しました。
- 以前:0-10万円免責(1回目0円、2回目10万円)
- 見直し後:5-10万円免責
この変更で、年間数千円の保険料がさらにダウンしました。
FPとしての結論
事故リスクはゼロにはできませんが、貯蓄とのバランスを考え、無理のない範囲で免責設定を活用するのは、合理的な選択肢の一つだと感じています。
保険はコストではなく「リスクマネジメント」
今回私は、任意保険未加入の相手との事故、裁判、人身事故、後遺障害申請という流れを経験しました。
この体験を通じて強く思うのは次のことです。
- 保険は「損か得か」ではなく「自分の人生を守るもの」
- 一度でも事故に遭えば、過去の保険料は必要経費だったと思える
- 保険料は安くできるが、「最低限の補償だけは絶対削ってはいけない」
最後に。今できることは「まず保険証券を確認すること」
もしこの記事を読んでいる方が、
- 自分の保険内容がよく分からない
- 特約がついているか不安
- 保険料が高すぎると感じている
そんな場合は、今日中に一度、保険証券を取り出して確認してみてください。 どこまで補償されているのか、免責はいくらなのか、そしてネット型に乗り換えればどこまで安くできるのか。
事前の準備が、未来の安心につながります。
この記事は、実際に交通事故を経験し、裁判・保険対応・後遺障害申請まで体験したFPが執筆しました。