はじめに
夜空に輝く星々は、古くから人々を魅了してきました。しかし、最近では光害の影響で、都会では星空を鑑賞することが難しくなっています。そこで注目されているのが、カメラによる天体撮影です。本記事では、初心者でも気軽に天体撮影を始められるよう、必要な機材や撮影のコツをわかりやすく解説していきます。
機材の選び方
天体撮影に適した機材を選ぶことが、美しい星空写真を撮るための第一歩です。ここでは、カメラ、レンズ、三脚などの機材について詳しく見ていきましょう。
カメラ
一眼レフカメラかミラーレスカメラがおすすめです。センサーサイズが大きいほど、暗い環境でも鮮明な写真が撮れます。初心者なら、お手頃価格のAPS-Cサイズセンサー付きモデルから始めるのが無難でしょう。
ニコンのD5600やZ50、Zfcなどがコストパフォーマンスに優れたモデルとして人気があります。中級者以上であれば、フルサイズセンサーを搭載したD780なども検討できます。
レンズ
星空撮影には広角レンズと明るいレンズが適しています。広角レンズなら、広大な星空を一望できます。明るいレンズ(開放F値が小さいレンズ)を使えば、暗い環境でも十分な光量を確保できます。
おすすめの広角レンズには、以下のようなものがあります。
- SONY FE 16-35mm F2.8 GM
- TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III
- NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
- NIKON NIKKOR Z 17-28mm f/2.8
三脚
星空撮影では、手ブレを防ぐために三脚が欠かせません。頑丈な三脚を選び、しっかりとカメラを固定しましょう。
三脚を使うと、長時間露光が可能になります。星の動きをなめらかな軌跡として写し込むこともできるでしょう。
撮影のコツ
適切な機材を準備できたら、次は実際の撮影方法を押さえましょう。撮影場所の選び方から、カメラの設定まで、詳しくご紹介します。
撮影場所の選び方
街灯などの人工光が少なく、光害の影響が少ない場所を選びましょう。郊外の山間部や離島、砂漠地帯などが理想的です。月の出ていない新月の夜が望ましいですが、上弦の月があれば月と星空を一緒に撮影できる良いチャンスでもあります。
天気予報も重要です。晴れの日に撮影を行いましょう。部分的に雲が広がっていても、構図を工夫すれば綺麗な写真が撮れるかもしれません。
ピントの合わせ方
星空撮影では、手動でピントを合わせる必要があります。ピントが合っていないと、星が小さな丸ではなく、ぼやけた点になってしまいます。
以下の要領でピントを合わせましょう。
- カメラのレンズを無限遠に合わせる
- 明るい星を探してライブビュー機能でズームする
- 星がシャープに写るまでマニュアルフォーカスを調整する
カメラ設定
カメラの設定次第で、星空の描写が大きく変わります。以下の設定を参考にしてみてください。
設定項目 | 推奨値 | 備考 |
---|---|---|
露出モード | マニュアル(M)モード | 露出を自由に調整できる |
絞り値(F値) | F2.8 – F4 | 明るいレンズほど小さい値 |
シャッタースピード | 15秒 – 30秒 | 星の動きを軌跡にするか点にするか |
ISO感度 | 1600 – 6400 | ノイズが目立ちすぎない範囲で |
撮影時には、手ブレを防ぐためリモートシャッターを使うことをおすすめします。結露対策として、レンズヒーターの使用も検討しましょう。
撮影テクニック
基本的な撮影方法を理解したら、次は撮影テクニックについて学びましょう。固定撮影のほか、追尾撮影や星景写真、比較明合成など、さまざまな手法を紹介します。
固定撮影
三脚にカメラを固定し、一定時間露光を行う手法です。星が点として写るため、鮮明な星空写真が撮れます。絞り優先オートで行えば簡単に撮影できますが、長時間露光はできません。
星の軌跡を残したい場合は、長時間露光の追尾撮影が必要です。そのためには赤道儀などの追尾装置が必要になりますが、初心者には少し敷居が高いでしょう。
星景写真
星空と地上の風景を同時に写す手法です。構図に工夫が必要ですが、迫力のある作品が撮れます。
撮影では、前景と星空の露出を別々に測り、複数の写真を合成する必要があります。写真編集ソフトの使い方を覚えると、より高い自由度で作品づくりができるでしょう。
比較明合成
星空写真では、星の軌跡を滑らかに写し出すのが難しい課題でした。比較明合成はその問題を解決するテクニックで、短い露光の複数枚の写真を合成することで、滑らかな軌跡を再現できます。
専用のソフトを使えば手軽に行えますが、カメラのRAW現像ソフトでも合成は可能です。比較明合成を活用すれば、大がかりな機材を準備せずとも、プロ並みの作品が撮れるかもしれません。
天体撮影スポット
最後に、実際に天体撮影を楽しめるスポットをご紹介します。都会では見られないような美しい星空を、自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。
国内の撮影スポット
国内でも、光害の影響が少なく、満天の星空が楽しめるスポットがいくつかあります。
- 長野県木曽町 – 標高1,000mを超える山岳地帯で、冬は星空が美しい
- 沖縄本島北部 – 都会から離れた離島で、南国ムードある星空が望める
- 北海道阿寒湖 – 湖面に映る星空は絶景。オーロラ撮影のチャンスも
海外の撮影スポット
本格的なスター・ウォッチングを楽しむなら、海外の撮影地がおすすめです。満点の星空を堪能できる場所が多数あります。
- チリ・アタカマ砂漠 – 世界で最も乾燥した砂漠の澄んだ空気は天体観測に最適
- アメリカ・ユタ州キャニオンランズ – 絶景の大地に広がる星空は圧巻
- ニュージーランド・テカポ湖 – 国際的な天体観測地として知られる
まとめ
いかがでしたでしょうか。天体撮影は、身近な場所から挑戦できる趣味ですが、奥が深く、長く楽しめる分野でもあります。手ごろな機材から始めて徐々にステップアップすれば、誰でも素晴らしい星空写真が撮れるはずです。
ぜひ、この記事を参考に、機材を準備して思い切って挑戦してみてください。きっと、広大な宇宙への扉が開かれ、新しい世界が広がることでしょう。見渡す限りの星々に、心を奪われる体験ができることをお約束します。
よくある質問
天体撮影に適したカメラはどんな機種がおすすめですか?
p. 一眼レフカメラかミラーレスカメラがおすすめです。センサーサイズが大きいほど、暗い環境でも鮮明な写真が撮れます。初心者なら、お手頃価格のAPS-Cサイズセンサー付きモデルが無難でしょう。ニコンのD5600やZ50、Zfcなどがコストパフォーマンスに優れています。中級者以上であれば、フルサイズセンサーを搭載したD780なども検討できます。
天体撮影に適したレンズはどのようなものがありますか?
p. 星空撮影には広角レンズと明るいレンズが適しています。広角レンズなら、広大な星空を一望できます。明るいレンズ(開放F値が小さいレンズ)を使えば、暗い環境でも十分な光量を確保できます。SONY FE 16-35mm F2.8 GM、TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III、NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED、NIKON NIKKOR Z 17-28mm f/2.8などがおすすめです。
天体撮影でカメラのピントはどのように合わせればよいですか?
p. 星空撮影では、手動でピントを合わせる必要があります。ピントが合っていないと、星が小さな丸ではなく、ぼやけた点になってしまいます。カメラのレンズを無限遠に合わせ、明るい星を探してライブビュー機能でズームし、星がシャープに写るまでマニュアルフォーカスを調整しましょう。
天体撮影のおすすめスポットはどこですか?
p. 国内では、長野県木曽町、沖縄本島北部、北海道阿寒湖などが光害の影響が少なく、満天の星空が楽しめます。海外では、チリのアタカマ砂漠、アメリカのユタ州キャニオンランズ、ニュージーランドのテカポ湖などが有名です。これらの場所で、広大で美しい星空を自分の目で確かめられるでしょう。