このページでは、統計初心者の医療者の方に向けて、「定性的データ」としてよく出てくる名義尺度と順序尺度の違いを、やさしい会話形式で解説していきます。
統計って難しそう…という方でも、読むだけで“なんとなくわかってくる”内容ですので、気楽に進んでみましょう!
登場キャラクター紹介

くま先生:統計の森から来たやさしいマスコット先生。

くま生徒:医療職。論文や統計にチャレンジしたいと思っているが、まだちょっと苦手意識あり。
はじめに

こんにちは!今日から統計の“データの種類”を一緒に学んでいこう!まずは“定性的データ”の世界だよ。



よろしくお願いします。でも“定性的”って、あまりピンとこないかも…。



大丈夫!定性的データっていうのは、簡単に言えば“数字じゃない情報”のこと。
たとえば『血液型』『性別』『診療科』みたいに、グループに分けることはできるけど、数としての計算はできないデータを指すんだ。
医療現場でよく出てくる定性的データの例
データの種類 | 例 | 尺度 |
---|---|---|
血液型 | A / B / O / AB | 名義尺度 |
疼痛スケール | 軽い / 中等度 / 強い | 順序尺度 |
ステージ分類 | ステージ I ~ IV | 順序尺度 |
診療科 | 内科 / 外科 / 小児科など | 名義尺度 |
名義尺度とは?~名前だけのデータ~



“名義尺度”はね、名前をつけるだけの分類。順番や意味のある数じゃないんだ。



あっ、たとえば血液型とか性別とか?



そうそう!血液型に“A型<B型”みたいな順番はないでしょ?これはただのラベルなんだ。
名義尺度の特徴まとめ
- 順番がない:A型もB型もただの名前
- 平均や差の計算はできない
- グループで分けられる
- よく使われる統計手法:χ²(カイ二乗)検定など
順序尺度とは?~順番には意味がある~



じゃあ“順序尺度”ってなんですか?



“順序”があるってこと。
たとえば“軽い<中等度<重度”のように、並び順に意味があるデータのことを指すよ。



でも、痛みの“軽い”と“中等度”の差が、一定ってわけじゃないですよね?



その通り!だから、順序はあるけど、数値としての間隔はバラバラっていうのがポイントなんだ。
順序尺度の特徴まとめ
- 順番には意味がある
- 間隔の大きさはわからない
- 計算(平均・標準偏差)は基本的に避けた方がいい
- よく使われる統計手法:Mann-Whitney U検定など
よくある誤解と注意点
Q1:「アンケートで“1=不満、2=普通、3=満足”って、名義尺度?」
→ 順序尺度です!
番号がついていても、それは便宜的なラベルであって、順序(不満<普通<満足)に意味があります。
Q2:「電子カルテに“1=男性, 2=女性”ってあるけど、これは計算していいの?」
→ NG!
数字っぽく見えるけど、これは名義尺度で、計算する意味はありません。
“数字=計算できる”とは限らないので注意しましょう。



たしかに、“番号がついてる=数値”だと誤解してたかも…!
なぜこの分類が大事なの?



なぜこの分類が大事なの?



いい質問だね!
この分類が正しくないと、間違った統計手法を使ってしまって、結果が信頼できなくなるんだ。
たとえば…
- 血液型を“平均”で出す(NG)
- 痛みスケールを“t検定”で分析(本来は非推奨)
✅ おさらいクイズ
🔹 Q1:性別は何尺度?
🔹 Q2:「満足・普通・不満」の順番があるデータは?
🔹 Q3:数値がついていても計算できないことがある?
(答え:Q1→名義尺度、Q2→順序尺度、Q3→はい!
まとめ
比較項目 | 名義尺度 | 順序尺度 |
---|---|---|
順番の意味 | ❌ なし | ✅ あり |
計算(平均など) | ❌ 基本的にできない | ❌ 避けるのが無難 |
使用例 | 血液型・性別・診療科 | 疼痛スケール・満足度・ステージ分類 |
代表的な手法 | χ²検定 | Mann-Whitney U検定 など |



今日は“定性的データ”の代表である“名義尺度”と“順序尺度”をしっかり区別できるようになったね!



数字に見えても、計算しちゃいけないものがあるって分かってきました!
次に読みたい記事はこちら!
- 間隔尺度と比例尺度とは?定量データの種類を初心者向けに解説
- χ²検定とは?名義尺度のデータで使う統計手法をやさしく解説 ▶ [作成中]
- Mann-Whitney U検定とは?順序尺度のデータを比べる方法 ▶ [作成中]
ブックマークしておくと、次の統計レッスンにもスムーズに進めますよ!