このページでは、統計初心者の医療者の方に向けて、「定量的データ(間隔尺度・比例尺度)」の違いを、やさしい会話形式で解説します。
定量的と聞くと「数字で計算できるデータ」と思いがちですが、実はその中にも種類があります。
この記事を読めば「どういうときに平均や差を取っていいのか?」がスッと理解できるようになります。
登場キャラクター紹介

くま先生:統計の森から来たやさしいマスコット先生。

くま生徒:医療職。論文や統計にチャレンジしたいと思っているが、まだちょっと苦手意識あり。
はじめに

こんにちは!今日は“定量的データ”の分類について説明するよ。特に“間隔尺度”と“比例尺度”の違いはしっかり理解しよう!



定量的データって、単に“数字のデータ”ってことじゃないんですか?



その通り!でも“数字”にも種類があるんだ。たとえば体温と体重、どちらも数字だけど性質はちょっと違うんだよ。
医療現場でよく出てくる定量的データの例
データの種類 | 例 | 尺度 |
---|---|---|
体温(℃) | 36.5℃ など | 間隔尺度 |
血圧(mmHg) | 120/80 など | 比例尺度 |
体重(kg) | 60kg など | 比例尺度 |
血糖値(mg/dL) | 100mg/dL など | 比例尺度 |
間隔尺度とは?~“差”はわかるけど“比”はわからない~



“間隔尺度”は、数値の間隔(差)が意味を持つデータのこと。たとえば体温が36℃と38℃なら、2℃の差があるってわかるよね?



確かに。でも38℃は36℃の“1.05倍”とかは言わないですね…



そう、それがポイント!間隔尺度では比は意味がないんだ。なぜなら絶対的なゼロがないから。
間隔尺度の特徴まとめ
- 差(間隔)に意味がある
- 比率(2倍など)は意味がない
- 絶対的ゼロがない(例:体温の0℃は“無”ではない)
- 平均や標準偏差の計算OK
比例尺度とは?~“差”も“比”も意味がある~



じゃあ“比例尺度”って何が違うんですか?



“比例尺度”は、間隔も比も両方に意味があるデータ。
たとえば体重が60kgと30kgなら、“2倍”って言えるでしょ?



あっ、そうですね!しかも0kgは存在しないて意味で、本当のゼロですよね。
比例尺度の特徴まとめ
- 差にも比にも意味がある
- 絶対的ゼロがある(例:0kgは“無”を意味する)
- 平均・標準偏差・比率の計算すべてOK
- 最も情報量が多く、多くの統計手法で扱える
よくある誤解と注意点
Q:「血圧も数値だから比例尺度ですか?」
→ 血圧は通常比例尺度として扱いますが、場合によっては構造的に間隔的な要素もあるため、細かい解析では注意が必要です。
Q:「0℃の体温って“ゼロ”なのに、なんで比べちゃダメなの?」
→ 温度の0℃は相対的なゼロであり、「体温がない」わけではないからです。
絶対温度(ケルビン)なら比例尺度として扱えます。
なぜこの分類が大切なの?



データの尺度を間違えると、統計手法の選択や結果の解釈に大きな影響が出るよ!
誤った例 | なにが問題? |
---|---|
体温を“倍で比較”する | 間隔尺度なので比に意味がない |
順序尺度をt検定する | 間隔・比例尺度でないと正確性に欠ける |
おさらいクイズ
🔹 Q1:体重はどの尺度?
🔹 Q2:体温は“2倍”といえる?
🔹 Q3:“絶対的なゼロ”があるのはどっち?
(答え:Q1→比例尺度、Q2→言えない、Q3→比例尺度)
まとめ
比較項目 | 間隔尺度 | 比例尺度 |
---|---|---|
差に意味 | ✅ ある | ✅ ある |
比に意味 | ❌ ない | ✅ ある |
絶対的ゼロ | ❌ なし | ✅ あり |
計算可能性 | 平均・SD などOK | 平均・比などすべてOK |
使用例 | 体温、日付など | 体重、身長、血糖値など |



今日は“定量的データ”の中でも、間隔尺度と比例尺度の違いを学んだね!どうだった?



0があるかどうかが、こんなに大事なんて思ってませんでした…!
📚 次に読みたい記事はこちら!
- 名義尺度と順序尺度とは?定性的データの基本を初心者向けに解説
- 平均・中央値・最頻値の違いとは?基本統計量をやさしく解説 ▶ [作成中]
- 正規分布とは?グラフでわかる分布の基本 ▶ [作成中]
🔖 統計の学習は少しずつ!ブックマークして少しずつ読み進めていきましょう。