はじめに
統計において「データの中心を表す数字」はとても重要です。
その代表格が 平均値(へいきんち)・中央値(ちゅうおうち)・最頻値(さいひんち) の3つ。
この3つは「代表値」と呼ばれ、それぞれ計算方法や特徴、適した用途が異なります。
今回は、くま先生とくま生徒の会話を交えながら、3つの代表値の違いと、どんな場面でどれを使えばいいのかをわかりやすく解説します。
代表値ってなに?

データの“真ん中”って、やっぱり平均値のことですよね?



うん、平均値もよく使われるけど、それだけじゃないんだ。データの特徴によって、使い分ける必要があるんだよ。
平均値とは?
平均値は、すべてのデータを合計して、その個数で割った値です。
最もよく使われる代表値で、日常生活でもよく登場します。
例:テストの点数が【80, 90, 100, 70, 60】の場合
→ 平均値 =(80+90+100+70+60)÷ 5 = 80
特徴:
- 全体のバランスを見るのに便利
- データが正規分布に近いときに信頼性が高い
- 外れ値(極端に大きい・小さい値)に弱い
注意:100, 80, 70, 60, 10 だと平均は64に。これでは「普通の人の感覚」とずれることも…
中央値とは?
中央値は、データを小さい順に並べたときの「真ん中」の値です。
データの「位置的中心」を表す代表値です。
例:データ【60, 70, 80, 90, 100】 → 中央値 = 80
特徴:
- 外れ値の影響を受けない
- 年収や通院回数など「偏りのあるデータ」に強い
- データの“中心的な値”を知りたいときに便利



平均だと極端な人の影響を受けちゃうけど、中央値なら安心ですね。



そうだね。とくに年収や手術日数なんかは中央値で見ることが多いよ。
最頻値とは?
最頻値(モード)は、「もっともよく出てくる値」です。
データの中で「多数派」がどれかを知ることができます。
例:【80, 80, 90, 100, 80】 → 最頻値 = 80
特徴:
- 人気や傾向を知りたいときに有効
- カテゴリーデータでも使える(例:好きな果物、選んだサイズなど)
- 複数存在する場合もあれば、まったく存在しない場合もある



最頻値って、人気投票の1位みたいですね!



そのとおり。どれが“よく選ばれてるか”を知るのにぴったりだよ。
比較表でまとめてみよう
代表値 | 定義 | 強み | 弱点 | よく使う場面 |
---|---|---|---|---|
平均値 | 合計 ÷ 個数 | 全体の傾向を把握 | 外れ値に弱い | テストの点数、気温など |
中央値 | 並べた真ん中の値 | 外れ値に強い | データ数が偶数だと平均をとる必要あり | 年収、通院回数など |
最頻値 | 最も多く出た値 | 流行や選好を反映 | 存在しない/複数ある場合も | よく選ばれたサイズや答え |
どれを使えばいいの?
シーン | 適した代表値 | 理由 |
---|---|---|
テストの平均点を知りたい | 平均値 | 数値のバランスが大事だから |
年収の実態を知りたい | 中央値 | 極端に高い人の影響を除ける |
一番売れているサイズを知りたい | 最頻値 | 実際に一番選ばれているものが重要だから |
まとめ



平均値・中央値・最頻値って、見た目は似てても、使い分けが大事なんですね!



うん。“どんなデータなのか”を理解して、それに合わせて代表値を選ぶことが統計の第一歩だよ。
代表値は、「ただ平均をとればいい」というものではありません。
データの性質や目的に応じて、最適な代表値を選ぶことが、統計を“使いこなす”第一歩です。
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