
事故の発生と相手が任意保険未加入だった現実
北海道の冬の始まりの時期、路面が凍結した中で停車していた私の車に、後方からスリップしてきた車が追突しました。
その場で相手から告げられたのは、衝撃の一言。
「自賠責には入っていますけど、任意保険は入っていません」
正直、その瞬間に血の気が引きました。ここから、私の約7か月にわたる長い戦いが始まったのです。
警察対応と任意保険未加入の確認
事故現場では警察が到着し、実況見分や調書が淡々と進められました。
自賠責保険の加入確認はありましたが、任意保険加入の有無は警察の確認項目ではありません。
相手が「任意保険未加入」と説明している場面もなく、この事実を知ったのは私と相手の直接のやり取りでした。
無保険車との交渉と弁護士特約の利用
事故当初、相手は「修理費は払います」と約束しました。
しかし、修理費の見積もりを提示すると態度が急変。
- 「金額が高すぎる」
- 「自分はそこまで悪くない」
- 「少ししか壊れていないはず」
と主張し、やがて連絡が途絶えました。
保険会社への連絡と弁護士特約の流れ
私は事故直後に保険会社へ連絡し、弁護士特約を利用したいと伝えました。
幸い、弁護士は過去に依頼した先生がいたため、私から直接依頼。保険会社に「自分で探します」と伝えても問題なく、スムーズに手続きできました。
なお、保険会社からも「紹介できます」と案内があり、どちらでも利用可能でした。
略式裁判での解決と判決内容
交渉が決裂したため、最終的に裁判に進みました。
略式裁判は本人出廷なしで完結
私のケースは請求額が140万円以下だったため、簡易裁判所での略式裁判が可能でした。
そのため、私は裁判所へ出廷する必要はなく、弁護士と相手方のみで手続きが完結。比較的スムーズに進行しました。
もし請求額が140万円を超える場合は通常訴訟となり、最低でも1回は本人が出廷する必要があります。
略式裁判と通常裁判の違い
項目 | 略式裁判 | 通常訴訟 |
---|---|---|
請求額 | 140万円以下 | 140万円超 |
裁判所 | 簡易裁判所 | 地方裁判所など |
本人出廷 | 不要(弁護士のみで進行可) | 原則1回以上必要 |
判決までの期間 | 数か月程度 | 半年~1年以上 |
負担感 | 精神的負担が軽い | 出廷・準備の負担大 |
請求額の大小で、裁判の負担や進め方は大きく変わります。
判決内容と分割払いの現実
最終的な判決は以下の通り。
- 修理費用は満額支払い命令
- 支払い方法は分割(約1年かけて)
- 2回滞納した場合は残額一括請求可能
「判決が出ても、すぐにお金が入るわけではない」――これが無保険相手との現実です。
治療と後遺障害認定の壁
事故で負ったのは典型的な、むち打ち(頚椎捻挫)でした。半年以上通院しましたが、症状は改善せず、現在もストレッチを継続しています。
見た目は軽くても、むち打ちのように身体への衝撃は大きい場合があります。

人身傷害補償特約に救われた
治療費や通院交通費は相手からは一切支払われませんでした。
しかし、自分の自動車保険に付けていた人身傷害補償特約でカバーされ、自己負担ゼロで治療を続けることができました。
後遺障害認定は「該当せず」
症状固定後に後遺障害認定を申請しましたが、結果は「該当せず」。
医師に診断書を依頼する際、生活や仕事への支障をより具体的に記載してもらうよう依頼し、書き直しに1週間ほどかかるなど苦労もありました。
後遺障害認定は決して簡単ではなく、現実のハードルを感じました。
FP視点で見る「保険料と補償額の比較」
私は過去7年間、年間約5万円の任意保険に加入していました。
保険料と補償額の比較(FP視点)
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
支払った保険料(7年間) | 約35万円 | 年間約5万円 |
弁護士費用特約で補償 | 約30万円 | 弁護士相談・裁判費用 |
医療費(人身傷害補償) | 約50万円 | 通院・リハビリ・交通費 |
その他雑費 | 約5万円 | 書類作成・諸費用 |
合計補償額 | 約85万円 | 支払保険料の約2.4倍 |
一度事故に遭えば、過去の保険料は「必要経費」だったと痛感しました。
保険の見直しで年2万円以上節約できた
事故後、保険内容を見直しました。
- 従来:代理店型で年間約5万円
- 見直し後:ネット型で約2万8千円
弁護士特約や人身傷害補償は残しつつ、車両保険に免責を設定することで節約に成功。ネット型に切り替えても特に不便は感じませんでした。
無保険車との事故から学んだこと
事故から学んだのは、保険は単なるコストではなく「リスクマネジメント」だということ。
- 保険は損得で考えない
- 一度使えば、過去の保険料はすべて必要経費になる
- 削るとしても「弁護士特約」「人身傷害」だけは残すべき
相手からは修理代を月3万円ずつ受け取っています。皮肉なことに、その金額があれば任意保険に加入でき、相手も自分も守られていたはずです。
任意保険は、自分だけでなく家族や相手の生活を守るためにも必要不可欠だと強く実感しました。
まとめ
任意保険未加入の相手に追突されたことで、裁判・通院・認定申請と、多大な労力と時間を費やしました。
しかし、弁護士特約と人身傷害補償のおかげで泣き寝入りせずに済みました。
最低限、弁護士特約と人身傷害補償は必ず付けておくべき。
保険は「生活を守るための仕組み」。コスト削減だけでなく、リスクに備える投資だと考えてほしいです。
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