このページでは、統計初心者の医療者の方に向けて、「Mann-Whitney U検定」についてやさしく解説します。
t検定との違いや、「どんなときに使えばいいのか?」をイメージしやすいように、くま先生とくま生徒が会話形式で学んでいきます。


こんにちは!今日は“ノンパラメトリック検定”の代表、Mann-Whitney U検定について紹介するよ。



“マンホイットニー”って読みにくい名前ですね…。でも、t検定と何が違うんですか?
Mann-Whitney U検定とは?



これは2つの独立した群の中央値の違いを比較する検定で、t検定の代わりとして使われるんだ。



t検定の代わり…って、どういうときに?



それはズバリ、データが“正規分布していない”とき!
t検定は“正規分布”と“等分散”が前提だけど、それが満たせないときにMann-Whitney U検定を使うよ。
🩺 t検定とU検定の比較表
比較項目 | t検定(対応なし) | Mann-Whitney U検定 |
---|---|---|
前提条件 | 正規分布、等分散 | 特になし(ノンパラメトリック) |
検定対象 | 平均値の差 | 順序の差(中央値の比較) |
使用できるデータ | 間隔・比例尺度(数値) | 順序尺度や偏った分布でもOK |
代表的な使いどころ | 血圧の平均比較など | 疼痛スコア、満足度スコアなど |
医療現場での使いどころ



たとえばどんなデータのときにU検定を使えばいいんですか?



よくあるのは、疼痛スコア(軽い〜強い)や満足度(1〜5)などの順序尺度。
あるいは、血中濃度などが極端に偏っている場合も使えるね!
例:リハビリ前後の満足度を比較
- 群①:介入A群(n=20)
- 群②:介入B群(n=20)
- 評価項目:満足度(1~5のスケール)
→ t検定では正規性の前提が不十分 → U検定で中央値の差を比較!
U検定を使うときの注意点
- 平均値ではなく中央値で解釈すること
- 順位に意味があるが、差の大きさまでは考慮しない
- 大規模データであっても正規性がなければt検定より有効
よくある誤解とQ&A
❓ Q:「U検定は“平均値”の差を比較してるんじゃないの?」
→ ❌違います。“中央値”や“順位”の差を検定しています。
❓ Q:「順序尺度しかないなら、t検定は絶対NGですか?」
→ 基本的には避けるべきですが、**データの分布が近似的に正規であればOKな場合もあります。**でも安全策はU検定!
✅ おさらいクイズ
🔹 Q1:データが偏っていたら、どの検定を使う?
🔹 Q2:Mann-Whitney U検定は何を比べる?
🔹 Q3:満足度スコアの比較で使える検定は?
(答え:Q1→U検定、Q2→中央値・順位、Q3→U検定)
📌 まとめ
特徴 | Mann-Whitney U検定 |
---|---|
適用できる状況 | 正規分布していない or 順序尺度のデータ |
比較するもの | 中央値(順位)の差 |
医療での例 | 疼痛スコア、満足度、重症度分類など |
メリット | 正規性の前提が不要で、使用範囲が広い |



今日は“t検定が使えないときの選択肢”、Mann-Whitney U検定を覚えられたね!



データがきれいに揃っていなくても使えるって、助かります!
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- 名義尺度と順序尺度とは?定性的データの基本を初心者向けに解説


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- ノンパラメトリック検定のまとめ:正規性がないときの選択肢
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